MG Midget 1500

概要
初めてのオープンカー
写真
年式
1979年
車体形式
B-15GA
エンジン形式
FP
所有期間
2003~2012
解説

MG Midgetの生い立ちは1920年代に作られた「MタイプMidget」に発端します。小人(Midget)と名づけられたその車は、Morris Minorをベースに軽量・小型・安価の2シーターライトスポーツカーとして評判を得ます。その後MidgetはJ type, P type そしてTシリーズMiget(TA,TB,TC,TD,TF)と受け継がれるのですが、MGがBMC(British Motor Cooperation)の傘下に入った1952年、BMCはグループ内の車種統廃合の中でMidgetの生産中止を決定します。他社がモノコックボディへと変遷している中で、30年間変わらないクラシックカー風のデザイン・設計は、すでに「時代遅れ」の車でした。

しかしMidgetの名は奇跡的に復活します。1959年に同じBMC傘下のオースチンヒーリーによって「カニ目」で有名なAH Spriteが発表されました。948ccOHVのA型エンジンを積んだその軽量かつ独特なスタイルの車は大ヒットとなります。AH Spriteは1961年にボディデザインの大幅な変更をしてSprite IIとなりますが、MGはこのデラックスバージョンとして「Midget MkI」を発表。「Midget」は新しい車として復活します。 MG Midgetはその後改良が加えられてゆきます。1979年には排ガス規制による出力低下と"5mphバンパー"による車重増を克服するため、それまでの伝統的なA型エンジンを捨てTriumph Spitfireの1500ccエンジンを搭載します(このモデルは一般的に"Midget 1500"と呼ばれ、A型エンジンを搭載したMidget MkI~IIIと区別して呼ぶことがあります)。が、20年以上基本設計が変わることがなかったMidgetはここでも時代の波に打ち勝つことはできず、MGの経営不振も重なって、ついに1979年生産中止となりました。

Midget 1500は、エンジンは上記のとおりSpitfire1500のエンジンを搭載。2シーターの運転席を後部へ移動させエンジンをフロントミドシップに配置。英国仕様ではSUキャブを搭載していたのですが、米国および日本仕様では排ガス規制の関係でゼニスストロンバーグキャブを搭載。正規ではエキゾーストエアポンプやEGRによるエミッションコントロールデバイスが搭載されていますが、SUやWEBERへ換装するチューンが一般的です。

サスペンションはフロントがウィッシュボーン、リアは1/2楕円のリーフスプリングのリジットサス。余計なものを排除した装備により車重はわずか約830kg。"5mphバンパー"により軽快なハンドリングは犠牲になっていますが、それでもライトウェイトスポーツカーとしての愉しみを感じることができます。

「いい出物がある」と知り合いの車屋から連絡があって伺ったのがこの車との出会いです。私が初めて乗った時点で、すでにWEBER×2基とステンレスエキマニ&マフラーに換装されており、そのトルクフルな走りに感動して衝動買いした一台です。ただ、キャブセッティングが走り屋仕様になっていて、街乗りにはぜんぜん不向き。これまでスポーツキャブには触れたことがなかったので、この車と購入と同時に勉強。キャブセッティングの奥深さをしることになりました。

ボディそのものが小さい上に構造が非常に単純で、すべてに手が届きやすく整備性がよいので、大掛かりな修理も可能です。単純ゆえに破損しやすいのも確かですが部品の調達も非常によく、中程度のサンデーメカニックにとっては乗るにもいじるにも非常に面白い車だと思います。事実私もこの車の整備でいろいろと勉強させていただきました。