「比べることの無意味さを教えてあげよう」 発売当時のラジオからはいささかオーバーな表現で、この新しいフェアレディZの誕生を高らかに謳いあげた。初代が誕生して以来、日本を代表するスポーツカーとしての地位を確立したのがこの車、フェアレディである。 オープン2シーターで誕生した初代フェアレディ(SP,SR系)がロングノーズ、ショートデッキのファストバッククーペスタイルとなり、名前に「フェアレディZ」を与えられて登場したのが1969年。以来マイナーチェンジを経て1983年9月に総生産台数100万台を突破。その直後の1983年9月16日に2度目のフルモデルチェンジを受けて誕生したのが、この「Z31」フェアレディZである。 初代から引き継がれてきたL型直列6気筒エンジンに変わり、新開発のターボチャージャー付きV型6気筒3000ccエンジンを搭載。この「VG型」エンジンは最大出力230馬力、最大トルク34.0kgmを発生し当時の国産車最強のエンジンであるが、その1000kgを超えるボディー重量を支えるパワーユニットとしては必要条件としてなったエンジンスペックである。 超軽量、超コンパクトにまとめられたVGエンジンを搭載することにより、それまでの直列6気筒に較べて前後長を短くすることが可能となり、そのためZ独特のスタイル、ロングノーズ・ショートデッキから直線を基調としたより現代的なスタイルへと大幅に変化する。ヘッドライトにセミリトラクタブル式のパラレルライジングヘッドランプを採用。平坦かつ滑らかな曲面を持ち合わせたボディデザインからは、Cd=0.31という国産車最高の空力特性を達成。高速域での走行安定性と動力性能を飛躍的に向上させた。またV型エンジンによりエンジンルームをコンパクトにできた分、室内は先代のZに較べてより余裕のある空間を実現した。 先に乗っていたレビンが不慮の事故により廃車となり「とほほ」と肩を落としながら歩いているときにふと目に付いたのがこの車でした。購入時で8年落ちのこの車は非常にお手ごろな価格で手に入れることができました。いくら中古でも、8年落ちのオンボロでも、腐ってもZはZ。高速の追い越し車線を走れば、あおる前に前の車はよけてくれる、混雑した道でも片手を挙げるだけでいとも簡単に割り込むことができ、後ろからベンツにあおられようがBMWにあおられようがビビることなく胸を張って優雅に走ることができました。 この車は、あくまでも「高速グランドツーリングカー」として設計されているので、スポーツ走行は苦手な一面がありました。その点が先代のS30やS130のZとの違いでしょう。VGエンジンからでてくる図太いトルクで地面を蹴って走って行く、100km/hを越えても200km/hを越えても安心して、街中を走るようにハンドルを握って走ることができる。そんな車でした。
概要
初めてのAT車
写真
年式
昭和58年(1983年)
車体形式
E-HGZ31
エンジン形式
VG30ET
所有期間
1994~1998
解説