2CV、DS(ID)という独創的で画期的な車を世に送りだしたシトロエンは、個性的な自動車メーカーとして広く知られるようになった。しかし2CVは小排気量の大衆車として、DSはアッパークラスのサルーンカーとして位置づけられており、その間を埋める中排気量(1L)クラスの車種が当時のシトロエンのラインナップには存在しなかった。戦後の復興によりユーザーのニーズが小排気量クラスから中排気量クラスへ移行してゆく中で、その穴を埋めるべくして1970年に誕生したのがGSである。 シャシー、ボディー、エンジンともに新しく設計されたGSには、1リットルという排気量を考慮して4気筒のOHC空冷水平対抗エンジンを縦置きさせ、駆動方法はやはりFWD(前輪駆動)とした。あえて空冷にしたのは整備性と耐久性を追求した結果であり、2CVの技術を受け継いだ形となった。排気量は発表時には1,015ccのみだったが、後に1,220ccとなりGSAの登場で1,300ccまでボアアップされた。 サスペンションにはDS(ID)で培われたハイドロニューマチックサスペンションを搭載。この複雑な機構を中排気量大衆車に投入するに当たって、徹底的な設計の合理化と耐久性の向上をGSの為に施しこれを実現させた。DS(ID)・SMで培われてきたシトロエンの技術の高さとハイドロニューマチックサスペンションの安全性をアピールすることに成功した車である。ブレーキ系統もDS(ID)・SMと同様にハイドロニューマチックの油圧を用いて制御するため、このクラスでは珍しく4輪ディスクを採用。サスペンション構造はリアにトレーディングアーム、フロントにはダブルウィッシュボーンを採用。インテリアもFWDという構造を生かしてフラットな低床の室内を実現している。 この車は学生時代の友人から購入したもので、見かけ以上に程度がよかったものです。生まれて初めてのハイドロサスの乗り心地は最高に気持ちよいものでした。1,220ccというエンジンにこの大きさのボディーということで確かに非力感は否めませんでしたが、一旦速度に乗ると"これが1000ccクラスの車?"と勘違いするくらいの直進安定性とハイドロ独特の乗り心地に包まれました。とはいうもののやはりシトロエン、整備・維持してゆくのは限界がありまして手放してしまいました。
概要
初めての左ハンドル車
写真
年式
1979年式
車体形式
B-GXGB
エンジン形式
G12
所有期間
1992~1993
解説