SAAB 900 Turbo 16Valve

概要: 
初めて新車価格が500万を超えた車
写真: 
年式: 
1987年
車体形式: 
E-AB20S
エンジン形式: 
B20S
所有期間: 
1998~2000
解説: 

SAAB(サーブ)という会社は、もともと航空機製造メーカー(Svenska Aero AB/スウェーデン航空株式会社、後にSvenska Aeroplan AB/スウェーデン航空機株式会社と改名)として20世紀初頭に設立された会社のことである。大戦が終わり、民需転換を進める中で自動車産業市場に参入し現在に至る。このあたりが日本の三菱自動車と相通ずるところがある。

そのSAABがそれまでの93,95,96に代表されるヨーロッパ市場の小型乗用車からアメリカ市場のアッパーミドルクラスに参入を試みて1978年に誕生した車がこの900である。誕生、とはいうものの資金力に乏しかったSAABにとっては新設計の車を開発することはせず、前モデルの99の「改良」という形でこの900を作り上げた。しかしその「改良」は言うものの、900に対するそれは当時の最先端の技術を最大限取り入れた形で行われており、99とは別物の車と考えた方がいい。

2000cc縦置き直列4気筒DOHCエンジンにBOSCHのLHジェトロニック燃料噴射装置、そして99Turboから引き継がれたギャレット・エアリサーチ社製のターボユニット(T3)を搭載し最大出力160HP、最大トルク27.8kg.mをだす。エンジンブロックは45度傾けてスラントマウントされており、その下にトランスミッションが配置されている。この独特の配置は99に搭載されたエンジンがトライアンフのパワーユニットを使用したために、その配置がそのまま900に引き継がれているためである。

1980年以降のターボユニットには、SAAB独自のAPC(Automatic Performance Control)システムが搭載されている。このAPCシステムはターボエンジンに大敵のノッキングを抑えるためのシステムで、通常のそれがノックセンサーからの信号によって点火タイミングを大幅に遅らすことでノッキングを防いでいたが、このAPCではノックセンサーからの信号によってウェイストゲートを開閉させ過給圧をコントロールすることによってノッキングを防いでいる。そのため、燃料のオクタン価の違い(レギュラー、ハイオク)にかかわらず最適エンジンパフォーマンスを得ることを可能にした。また、APCによる効果でターボエンジンにも関わらず圧縮率を8.5:1(後に9:1)という高い値に設定できたため、低中回転域のトルクやレスポンスも向上している。

写真の1987年式車には、フロント部のスラント・ノーズ化、バンパー形状の変更、ヘッドライト、サイドマーカーの変更、3本スポークステアリング、シート形状の変更等若干の変更が施されている。

この900は1978年から1993年のフルモデルチェンジが施される15年間にわたり誕生当時のデザイン(これも99からの継承なので、基本スタイル自体はそれ以前の物)を大きく変更することなくそのままにしてきたがために、現代ではいささか時代に取り残された感じを受けざるを得ない。が、その中身は時代に取り残されないどころか、常に最先端の技術を次々と投入し、刻々と改良を施されて続けられたため、他社の現行車と遜色のない完成度を持っている。この当たりがユーザーを唸らせる「こだわり」の一つである。

先のFairladyZがあちらこちらに「くたびれ」を生じ始め、直すべきか手放すべきかの選択を迫られているときに、知り合いから偶然手に入れました。その人は私が車好きということを知っているので「車買い換えるんだけど、俺のSAAB要らない?」という言葉に飛びつき、結局名義変更代(約5000円)で手に入れました。しかし、前オーナーが出していた整備工場の整備がきちんと行われておらず、自分の手でいろいろと整備・修理を重ねて今にいたっています。

私にとって「気に入った車」には、「乗る前から気に入ってしまった車」と「乗り始めてから気に入った車」の2つのタイプがあるんですが、このSAABと言う車は、まさに後者を代表する車です。いまいちスタイルも走りも「ピン」と来ないのですが、乗りこなして行くと「あぁ、なるほど。こういう理由で、こういう車になったのね。納得」と頷いてしまう、そんな事を乗る度に発見して楽しめる人に最適な車だと思います。